世界で日本語を学んでいる外国人がどれくらいいると思いますか?
なんと、約380万人(世界133か国)います。(2021年時点国際交流基金調べ)
国別の日本語学習者数、人口、人口に対する学習者数比率は以下の通り。
日本語 学習者数 順位 |
国・地域名 | 日本語学習者数 | 人口 (2021年) |
日本語 学習者数 比率 |
日本語 学習者数 比率順位 |
1 | 中国 | 1,057,318 | 1,425,893,000 | 0.07% | 8 |
2 | インドネシア | 711,732 | 273,753,000 | 0.26% | 4 |
3 | 韓国 | 470,334 | 51,830,000 | 0.91% | 2 |
4 | オーストラリア | 415,348 | 25,921,000 | 1.60% | 1 |
5 | タイ | 183,957 | 71,601,000 | 0.26% | 5 |
6 | ベトナム | 169,582 | 97,468,000 | 0.17% | 6 |
7 | 米国 | 161,402 | 336,998,000 | 0.05% | 9 |
8 | 台湾 | 143,632 | 23,860,000 | 0.60% | 3 |
9 | フィリピン | 44,457 | 113,880,000 | 0.04% | 10 |
10 | マレーシア | 38,129 | 33,574,000 | 0.11% | 7 |
国別の日本語学習者数は人口が多い中国が100万人を超えており、No.1という結果になりました。
それだけ中国では日本語教師として働けるチャンスが多いのは事実ですが、人口に対する日本語学習者比率で言うと、上記赤文字の3か国(オーストラリア、韓国、台湾)がトップ3になり、それだけ日本語学習に対する熱が大きいことが分かります。
日本語学習の目的・理由として一番多かったのは、①日本語そのものに興味、②アニメ・マンガ・J-POP・ファッションへの関心、③歴史・文化・芸術等への関心、④自国内での仕事という順位でした。
上記を頭に置きながら、早速、海外の日本語教師需要、海外で日本語教師として働くために必要な条件、方法を見ていきましょう。
海外地域別の日本語教師の需要
欧米圏
・日本語学習者数ランキングで、欧米圏では唯一、米国とオーストラリアの2か国が入っていますが、これは現地の小中高校の外国語選択/必修科目での日本語学習者がカウントされているためです。
・小中高校で働くには、現地の大学に通い、現地の小中高校教員免許を取得し教員になる必要があります。また、欧米圏には永住している日本人が大勢おり、大学等の日本語教師の求人は、競争率が非常に高くなっています。
・欧米圏で社会人が通う日本語学校的なところはほとんどなく、あったとしても、日本語教師ではビザが取れません。
そのため、欧米では日本語教室を開いたり、トレーナーとして働く選択肢の方がメジャー化しています。
・オーストラリアは、アジア圏ほどではないが、他欧米諸国よりは、民間の語学学校での日本人教師募集が多くあります。
東アジア
・日本語話者数ランキングでも、中国、韓国、台湾の3か国がランクインしており、日本語学習がもっとも盛んに行われている地域の1つです。
・日本語教育機関数は2021年時点で世界で18,272ありますが、そのうち、東アジアだけで6,939有り、全体の38%を占めています。その教育機関数トップ3は、No.1 中国 2,965(16.2%)、No.2 インドネシア 2,958(16.2%)、No.3 韓国 2,868(15.7%)です。
・大学、大学院などの教育機関での日本語教師求人が多い傾向があり、日本語教師に対する需要が高い地域です。
東南アジア
・日本語学習数ランキングでも、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアの5か国がランクインしており、東アジアと並んで、近年、特に日本語学習が盛んな行われてきている地域です。
・インドネシアは日本語学習者数、日本語教育機関数ともに、世界No.2です。
・ベトナムは小学校の第一外国語として日本語が導入されており、インドネシアとともに近年特に日本語教育に熱が入ってきています。
・インドネシア、フィリピン、ベトナムは、日本と経済連携協定(EPA)を締結しており、それぞれ、2008年、2009年、2014年から、日本政府がインドネシア人・フィリピン人・ベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受け入れを開始している為、日本語学習がさらに盛んになっている理由です。
海外で日本語教師として働くための資格とは?
海外で日本語教師として働くためには、必ずしも資格を必要としません。
しかし、正しい日本語教育を行うことが求められるため、実際には、多くの国で採用条件が設けられています。
海外で日本語教師として働くのに求められる採用条件としては、日本国内で日本語教師になるのと同じ条件を求めれる傾向にあります。
以下のいずれかを満たす必要があります。
1) 大学(短大は除く)または大学院において日本語教育主専攻、または、副専攻を終了した者
2) 日本語教育能力検定試験に合格した者
3) 日本語教師養成講座 420時間以上受講し、これを修了した者
上記1)~3)を満たせてなくても、同等以上の能力がある者と判断された場合は採用条件に合致する国などもあります。
以上から、日本国内で日本語教師として働くことを目指すのと同じように条件を満たしていれば、特にアジア圏での仕事は見つけやすいでしょう。
海外で日本語教師として働ける職場とは?
海外で日本語教師として働ける職場には以下のようなところがあります。
1. 現地の日本語学校や大学の教師
日本語教師として働ける最もメジャーな職場は、現地の日本語学校や大学などの高等教育機関です。
実際に海外での日本語教師の求人の多くが、現地の日本語学校や大学・大学院で日本語教育に携わる業務です。
上記でも少し触れましたが、日本語教育機関が多い国(中国、インドネシア、韓国、オーストラリア、米国、台湾、タイ、ベトナム、インド、フランスなど)では、特に求人が多い傾向にあります。
国によっては、時には有名大学の日本語教師の求人が出ている事もありますので、ご希望の条件に合った求人をこまめにチェックしておく事をオススメします。
2. 小・中学校の教師
近年では、海外の小・中学校でも日本語教育を取り入れている場合があります。例えば、ベトナムでは小学校の第一外国語として日本語を取り入れている学校もあります。
将来的に日本で働きたいと考えている人が多くいる東南アジア等の地域では、日本語を学校教育に取り入れようとする傾向が強い為、日本語学習者数でもその傾向が出てきています。
海外で日本語教師になりたくて「子どもが好き」という方には向いていると思います。
3. 現地の日本人向け幼稚園・保育園の保育士
現地に住む日本人家族のニーズに応えるために、日本人の子供向け幼稚園・保育園で保育士としての求人が出ています。
特に海外邦人が多く住む国は、必然的に常に求人は多く出回っています。海外邦人数ランキング(2022年時点)は、以下の通りです。
No.1 米国(418,842人)
No.2 中国(102,066人)
No.3 オーストラリア(94,942人)
No.4 タイ(78,431人)
No.5 カナダ(74,362人)
No.6 英国(65,023人)
No.7 ブラジル(47,472人)
No.8 ドイツ(42,266人)
No.9 韓国(41,717人)
No.10 フランス(36,104人)
コロナ禍で海外邦人は全体的に減少傾向になったものの、コロナ前まではアジアへ移住する日本人が急増していた為、上記ランキング入りしていなかったNo.13 ベトナム(21,819人)、No.16 インドネシア(15,972人)などもこれからさらに需要が高まっていく国と想定されます。
ただし、日本での保育士実務経験が2~3年以上求められる求人が大半を占めています。
4. インターナショナルプレスクールの保育士
日本人の保育士や幼稚園教諭は、現地の教育機関からもニーズがあります。
米国などの先進国はもちろん、発展途上国でもインターナショナルプリスクールが多数存在しており、国際的な教育に力を入れています。
特に最近ではマンガ・アニメを始めとする日本文化が世界的ブームになっているため、インターナショナルプリスクールでも積極的にカリキュラムとして組み込まれています。
ただし、求人情報はそれほど多くなく、待遇面でも他の保育士と比べて良い為、競争倍率が高くなります。
待遇面でも良い理由は、インターナショナルプリスクールでは様々な国籍の子供がいるため、日本語以外の言語(英語や現地語など)も求められる事が多いからです。
5. 日本語トレーナー
「日本語トレーナー」とは、日本語についてパーソナルトレーニングを行う教師のことです。
現地の社会人向けに日本語を教えるのが主な業務内容になります。
しかし、学生向けの日本語教師よりは求人数が少なるため、個人で日本語教室を経営する方もおられます。
日本語を教えるだけでなく、日本の文化(例えば、茶道、剣道など)も併せて教えるような方もおられます。
6. 日本語教師ボランティア
ボランティア団体の派遣スタッフとして海外に行くのも手です。
1週間~1ヶ月程度の渡航で、海外生活や日本語教師としての働き方を体験できます。
現地で日本語を学びたい外国人は多く、ボランティア派遣先は様々な国があります。
滞在先も現地学習者の家族がホストファミリーになってくれることもあり、海外の文化を学び、生活しながら日本語教育に携わっていきたい方にはオススメです。
海外で日本語教師として働くのにオススメの国
日本語教師に対する海外の国・地域別需要、求められる資格、働ける職場を紹介してきましたが、現在タイ在住の私のこれまでの海外生活経験からすると、これから日本語教師の需要がさらに伸びる地域は、東南アジアだと思っています。
その中でも、特にインドネシア、ベトナムがオススメです。
やはり経済発展とともに、日系企業進出がさらに増え、現地日本人が増える事、所得が上がる事により、外国語(日本語)を学ぼうとする現地人がさらに増える事などからです。
日本人教師として海外就職してみたいと少しでも考えられている方は、まずは転職エージェントに登録して現地求人がどういったものがあるのかを確認していく事から始めていってはいかがでしょうか。もちろん登録等全て無料です。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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